純粋なるバカ達に捧ぐ

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「はあ? 何言っているの美玖? スーパーヒーローって?」 「独り言―」 「でも大変だよね。吉岡の家ってお兄さん障がいがあるんでしょ。すごく大変だって言っていたのに、どうしてグレたんだろう」 「さあ」 「聞いてこないの? 美玖」 「もう高校生だよ。幼馴染だからって男女が話すのって変じゃない?」  カップルじゃあるまいし。  私達は付き合ってないんだから、さ。 「でも、この前ボランティア団体に吉岡いたらしいよ、意味わかんない」 「それよりうちらも大学受験のこと考えないとだし、他人に構ってられないよアカネ」 「バカ大しかどうせ行けないじゃん」  まあ、そうなんだけれどさ。  受験生のくせに髪の毛染めて巻いて、義務的に受験勉強だけしている。やりたい事が見つからない、そんな私達。グレもしないけど、真面目に塾には行かないし、バイトはまあまあ行ってる。適当人生。まさにその表現がよく似合う。  だって、人生なんて、頑張るだけ無駄じゃんね。  生まれ持ったカードで戦うしかない、つまらないゲーム。それが人生。幼稚園のあの頃のように、私はもう思えない。いじめにもあったし、そのせいで休みがちだった私は結局バカの行く高校しかいけなかった。
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