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語学留学から帰ってきたオタクの友人と久々に会った。
彼は銀河系のはるか遠く、我々からみたら文明や科学力のだいぶ遅れた地球というところに行ってきたみたいだ。
最新Z世代の調査報告書やダイジェスト動画をみせてもらいながら、
我が星にはない言葉、言い回し、表現をお土産話に聞くのが好きだ。
「なんか面白い表現とかあった?」
「何かにハマることを沼にハマると表現してました。
さらに依存症状態で頭がい骨の内側から変な汁がでてて、その分泌される液を『脳汁』と表現してました」
「なるほど。それはおもいつかない表現やな」
「あと昼にいくキャバクラを昼キャバとも」
「まあ、組み合わせ的には考えられるな」
「結構、ギャンブルに依存している人間が多いです。
課金しすぎて家売ったりとか普通にあります。
田舎の山を削って売ったり実家の温泉を手放したり。
マンション4つ持ってたのに最終的には公園に住んでる人もいてるみたいです」
「おかしな世界やな」
「はい。あと、地下アイドルのライブも行ってきました。初見さん歓迎でチェキ1枚無料でした。
そこからオタクに推しのライブ配信アプリ教えてもらって、どっぷり沼って投げ銭して3か月で200万使いました。
ダイアモンド持って行って換金した金が無くなりました。
プロになれなかった人がライバーとして個人配信してるライブに憑りつかれました。
ビューティ補正でみんなきれいに見えますが、きれいとかより、ギフトに沿った可愛いリアクション、エールに対して中毒性のあるダンス付きの唄、言い回し、ライバーの顔芸、エフェクトの可愛さ、
枠内のリスナーのかけあいにハマりました。
地雷メイクが好きになりました。
劇的イミフですけど、あ、これも省略表現ですけど、
フォローしてるライバーに『無理はしてほしくないけど、ぬいぐるみは欲しい』
『4位に入りたい』と魔法の言葉を唱えられ、プライズを獲らせてあげたいと
脳汁でびしゃびしゃになってコンビニに駆けて課金し、のせられて思い出づくりに1個8000円するギフト大を24コンボ投げました」
「それでイベント最終日、ラスト5分でスコアが跳ねたんだな」
「結局、ビッグギフター1人いたら大丈夫です。あとはおやじ狩りにあってるみたいなもんです。
ランキングにもイベントにも煽られたとは思いますが結局投げることで
承認欲求の塊が満たされてる自分がいました」
「ハマってないように自分は思ってても、実は他の人よりハマってた?」
「隣の沼は深く見えるってことです」
「しかも、推しをいじってるけど、ほんとはめっちゃ好きっていう、みんな照れ隠しがスゴイな。あんまよーわからん星やな」
「はい、大体3か月で学んだことはそれくらいです。以前の僕とかわったとこは、スクショを撮るのが上手くなったことと、メンヘラ女子を好きになったことぐらいです」
なにかしら充実した日々を送ってるなら幸せなのかもしれないな。
思い出がいっぱいできるなら。
推しのために働くのも悪くない、か。
これからは誕生日は生誕祭と呼ぶか。
お土産の『推ししか勝たん』とプリントされたウチワで仰ぎながら、そんな風に思った。
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