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「今日の分の廃瓶はあれで全部かやー?」
叔父に確認され、理久はひとつ頷く。
「ご苦労さんね。じゃー、よっしーに工房の中を案内して」
靖の言葉に、理久より先に義史が反応する。
「おっ、そう来ましたか! するとこちらは未来の工房主ってとこかな?」
両手を広げ、称えるように理久を指した。
「まーだ三年目の、見習いも見習いさー」
と靖は笑って否定する。話題の中心人物である理久はただ黙っていた。
「そっか、まだ先の事とか分かんないよね。でも若いのにやる事見つけて……えらいよ」
義史は素直に感心しているらしい。
「ちなみに、おいくつ?」
少しだけ姿勢を下げ、視線の高さを合わせるように訊ねた。
「十七です」
理久が短く答えると、
「げっ、まじで若いじゃん。おじさんの半分だ」
と大袈裟に口元を歪めて見せる。そして改めて、よろしくね、と笑顔を見せた。
理久は一気に緊張したような面持ちになり、
「じゃ……案内しましょーね」
口の中で言うと、慌てて踵を返した。
愛想良くするよう言う靖の声が追うが、義史は割って入るように理久の後ろにつき、ひらひらと手を振った。
「だーいじょぶです。家族の前では恥ずかしくても、よその人となら意外と喋れたりするもんですよ」
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