街角ピアノ

「先に帰るね」

楽譜を片付けた後、カナはピアノのあるホールから立ち去った。
エリを置き去りにして…。

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帰り道。
カナはやりきれない思いでいた。

(なんで上手くいかないだろう……)

自分の利き腕である右手を見て、こう思う。
幼い頃からピアノを始め、地方のコンクールに入賞経験があった。

しかし、中学の頃からピアノと距離を置いた。
けど、周りの勧めにより再び弾いたが、ブランクが長かったのか、感触を取り戻したりするのに時間がかかった。

(まだ間に合う…)

現在。
高校生になり、小学生以来となるコンクール出場に向け、必死になって練習をしているが、スランプになっている事をまだ知らずにいる……。