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現場に駆け付けた警官たちは戸惑っていた。 ドレスの小さい外国人少女とスクール水着の女性と同僚の女性警官が運動会の危険な二人三脚競技をしているように思えた。 女性警官は右手に銃を持ってスクール水着の女性に操られたように走り回っている。 少女は月にかわって鷲掴みだーと叫びながら引きずられている。 次々にパトカーが到着した。 「何だこれは?」 「とりあえず、銃がある、住民の安全を確保」 「防弾着は全員OKか?」 次々にパトカーが到着する。 「何だこれは?」 「とりあえず、銃がある、住民の安全を確保」 「防弾着は全員OKか?」 次々にパトカーが到着。 「何だこれは?」 「とりあえず、銃がある、住民の安全を確保」 「防弾着は全員OKか?」 エンドレスに続くかとおもわれたが、8台のパトカーが所狭しと集結した。 非常線の外で、ハーレーにまたがった男がユウカイか何かかと隣の白縁丸メガネの青年に乱暴に話しかけた。 暴漢でしょうかね、ちょっと通りかかっただけで、それほど興味ないんですよと青年はやや無機質に答えた。 ―― なんだこいつ、面倒くせぇ。遠まわしくそったれ野郎。そこは、わかりませんでええやろ。こいつ絶対(ぜってえ)、ドライブスルーで、店員が訊くまで、砂糖とミルクいれるかどうか言わん奴やな。砂糖とミルクいれますかって訊かれる前に、初めからブラックでって、でおしまいやん。 ―― なにこの人、いきなり親しげな会話。ここは大都会東京、あなたは他人の一人。土足話しかけ厳禁でお願いしたいところ。そういうの面倒だから、No,thank you.で。この人絶対、ドライブスルーで、店員にラブを一つってスマイル無料のむこうをはってお笑い追加注文して、商品受け渡しの時に、懲りずに、君の涙で出来た水もくれとか言うんだろうな。
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