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女性警官の恋人の警官は
「なぜこうなったのか、自分にもわかりません」
そう答えるしかなかった。
なんだこいつ状況の把握もろくすっぽ出来とらんのかという視線に何度も刺された。
どんどん物々しい雰囲気が作られていく。
つい20分ほど前に見た平和な光景が脳裏に浮かんだ。
―― 何故だ。意味が分からない。
報道のヘリが爆音を立てて飛んでいる。
ヘリの自動追尾のリモートカメラが、両手の指が食い込んでぼよんぼよん揺れるおしりをアップでとらえた。
ラクカァナとエレノアの驚喜乱舞は、こうなったら止められない。
唯一止められる、ラクカァナの母である女王のソーエイラゼは、予定にしていたこの国への国賓来訪が、王の体調不良の為、無期限に延期、公式には中止となっていた。二人がこうなった場合で女王が不在の際は、故国の王宮の中では、少々荒っぽい力技が使われてきた。
エレノアにはラクカァナをおぶって2時間走り続ける体力が備わっている。
ラクカァナは走るエレノアの胸かお尻につかまって、振り落とされない腕力と握力を日頃の遊びで鍛えている。それに対抗することはいつも難儀だった。二人が格闘系漫画・アニメのヒーロー・ヒロインキャラクターになりきっている際は特に大変だった。
警官たちには、走り回る肉食動物とそのお尻にまるでむさぼるように手でかじりついている猛禽類に見えていた。女性警官は知らぬ間に、エレノアに肩車されていて、エレノアの手から解放された銃は大きく波打ち、いつ暴発してもおかしくない。
小さい時から特別な世界で生きてきたラクカァナとエレノアの行動様式は、この一般社会の規範と大きなずれがあった。
それを理解して解決策を見つけることは、違う世界で生きてきた警官たちには難しかった。
警官たちは強引な方法について検討し始めていた。
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