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その日、二人は朝から渋谷の再開発中の新道をうろうろしていたのだった。行き交う人の視線や写真をとりにくる人や、いかがわしい目的で近づく人たちにも昼には慣れてきた。
早朝渋谷に着き、公用車が去った後、ラクカァナは、動物カチューシャセットを公用車に忘れてきてしまったエレノアを叱責した。
「なんたる、不始末!正座!」
「まことに申し訳ありません」
エレノアはその場に神妙に座り込んだ。
ラクカァナは腕を組んで
「違う!何度言ったら分かるんだ」
「違うのだ。それは体操座りという、とくに学園物では肝となる座し方。ブルマもしくはちょっとの逆三角白パンチラが枕詞でなければなりません」
エレノアはすこし不満げにラクカァナに聞こえないようにつぶやいた。
「・・・スク水もありだと思いますよ」
「私の編纂した、『漫アニ学習百科ペディア事典(仮』を、あれほど頭にたたき込めといつも命じて、私もシチュ部屋のジャポン教室にて教鞭をとったではないか」
「・・・そういえばあの時の瞳のホワイトについてのレポートの宿題もまだ提出されていないし、あげくに授業後のテストの際は、配られた問題・答案用紙を、ざっと読んだだけで、すぐに証拠隠滅するようにむしゃむしゃ食べてしまったではないか」
いつものように会話の内容があさっての方へとんでいく。
顔洗い猫の恰好で丸まって寝たふりをしていたエレノアを、ラクカァナは揺り起こそうとして
「おお、まあまあだ、ツボにくる避け方だ、可愛いぞ。メロン1年間食べ放題にしてやろう」
エレノアは揺らされながら、薄目を開けて
「イチゴさんも・・・、それと百合絵も・・・、私の為にお描き・・・10枚、よろ・・・」
「了承!」
エレノアはよろこんで目を開け、寝たふりを止めた。
「私、メリ・エレノアはラクカァナ様の『漫アニ学習百科ペディア事典(仮』の申し子になって見せます」
「甘い、目の開け方は、こうだろ、王子様みたいな男にキスされた後のあの美しき開眼の儀そのものであって欲しかったな。0点、没収、全部無し」
「ひどい、後生ですから、せめて百合絵・・・1枚」
エレノアは、普通の方法では駄目だと思い、仰向けでラクカァナにしがみついた。
「残念、ここはストレート勝負の定番しがみつきで良かったな」
「こら、気を失ったふりをするな!」
「だから・・・、宿題と、問題・答案用紙を食べた件についてだ」
「納得できる説明があれば、メロンは許そう」
ラクカァナはこれぐらいのでいいのかとエレノアの大きな胸をメロンに例えてゆっさゆっさしている。
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