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この場にいた誰もが新郎がなぜ挙式を止めるのだろうかと疑問に思い騒然とした。
42歳の平民生まれの冒険者のおじさんが21歳の若い領主の娘と結婚できるというのは普通はあり得ない名誉なことでミューリン一番の幸運な男だというのに…。
だけど、スサマは汗だらけになって必死な顔になっていた。まるで、これから大災害が起こるのを予期しているかのようであった。
それを見た新婦のレズアンは心配になりスサマに近寄ろうとした。しかし、それをスサマが両手を前に突き出して止めた。
「こ、来ないでください。俺と貴女が結ばれること事態が不幸の始まりだったんだ。俺は、俺は……!」
スサマの言葉に今度は来賓の貴族たちがざわめいた。なぜなら、平民の男が貴族の娘を侮辱しているかのように聞こえたからだった。
その貴族たちの反感を気づかずにスサマは走り出した。ヴァージンロードを逆走して礼拝堂を出るつもりであった。
「待って、スサマ様!!」
「すまない。俺はただ不幸に成りたくなかったんだ!」
スサマは泣きながら走って逃げた。新郎がいなくなると礼拝堂は一気に静かになった。誰もが予想できなかったことが起きて状況の把握できずに、ただ唖然としていたのである。
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