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スサマが最後にブーツを履き終えると、さっきまでの、めでたい礼服姿からいっぺんして泥臭い冒険者姿となった。
「お前はこれからどこへ向かうつもりだ?」
ゴンザレスの問いにスサマは黙って道のない森の方に指を差した。
それを見て、ゴンザレスは苦い顔になった。
「マデランの街か。あそこは無法地帯だぞ」
「領主の顔に泥を塗ったんだ。しばらく、身を隠したほうがいいだろう。ゴンザレスはどうする?一緒についてくるか?」
「どうするもなにも、俺の荷物はまだ宿に置きっぱなしだ。それに俺もお前の友人としてミューリンには居られなくなるだろうよ」
「…すまない迷惑をかける。機会があれば、また会おう」
スサマは頭を下げてゴンザレスと別れた。
それから、彼が鬱蒼とした森の奥に消えるとゴンザレスは再びため息をついた。
とはいえ、ずっとここにいてもしょうがないのでミューリンに戻ろうと踵を返した。すると、背後から魔物の叫ぶ声が聞こえてきたのである。
「もう、魔物とエンカウントしたのか?」
遠くの方でスサマの憤慨らしき声も聞こえてきた。
流石、不幸男だと思いながらゴンザレスは呆れていた。
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