杏奈

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杏奈

放課後。 朝、あんが言ってた夕方に迎えが来るまで俺は体育館裏でタバコを吸って、時間を潰していた。 鈴木と、部活を引退した山村は、数の増えた野良犬達に餌をやっている。 と、空が葡萄色に染まり始めた頃、校門の方から、『ブブー!』と車のクラクションが聞こえてきた。 「鈴木、山村。そろそろ行くぞ」 「うん!じゃあ、ワンちゃん達、又ねー」 「明日、又、来ますね」 鈴木と山村は野良犬達に別れを告げると、タバコを落として踏みにじり火を消した俺がカバンを担いで歩き出した後に続く。 3人で帰ると言っても校門まで、だが。 校門前まで行くと、朝も見たあんの車が停まっている。 「じゃ、俺はあんの車に乗って行くから」 「綺麗な人だねー」 「千夜くん、何度も言うようですが、女性ともっと誠実に付き合ってください。失礼します」 鈴木と山村が去っていった後、助手席のドアが開いた。 俺は後部座席にカバンを放り投げると、助手席に座ってシートベルトを締める。 鈴木の言う事は最もだが、俺は正直あんに、そこまでの気持ちは無かった。 只、あんも今までの女と変わらず、部屋に泊まって、体を重ねて、朝には学園まで送ってもらう。 そのローテーションの繰り返しだった。 「保?」
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