34人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ
そして、何度か杏奈とヤりに泊まった事、数日。
3年生を送り出す、卒業式の日がやって来た。
「俺は出ねーって」
「そうですか。送辞の時、千夜くんが卒業式をエスケープしている事を話しても良いんですね」
鈴木のメガネがキラーンと光る。
「山村先輩の節目の行事です。出ないとバチが当たりますよ」
このメガネ野郎…俺を脅迫しやがって…。
そうは思ったが、鈴木の事だから本当に言いかねねー。
誰だ?!
送辞は首席にさせるって決めた奴は。
そう内心、毒づきながら、俺は仕方なく卒業式へ向かう列に並んだ。
そして、式は無事に終わり、山村はクラスの友人達と記念撮影をしたり、別れを惜しんだりしている。
山村は友人も多いからな。
それだけ人徳ある奴だって事だろ。
「保ー♡鈴木くーん!はい、約束してたネクタイ。送辞、格好良かったよ!」
「ありがとうございます、山村先輩」
「言っとくが、俺は本当に何も要らねーからな」
俺の言葉に、山村は泣きそうな顔になる。
「千夜くん…」
鈴木のメガネの奥の切長の目が座っている。
「あー、山村。ブレザーのボタンくれ」
俺は半ばヤケになって言った。
途端に山村は、いつもの笑顔になる。
「はい、これ。…保、鈴木くん。又、連絡するからね!」
最初のコメントを投稿しよう!