まやかしの恋

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そして、何度か杏奈とヤりに泊まった事、数日。 3年生を送り出す、卒業式の日がやって来た。 「俺は出ねーって」 「そうですか。送辞の時、千夜くんが卒業式をエスケープしている事を話しても良いんですね」 鈴木のメガネがキラーンと光る。 「山村先輩の節目の行事です。出ないとバチが当たりますよ」 このメガネ野郎…俺を脅迫しやがって…。 そうは思ったが、鈴木の事だから本当に言いかねねー。 誰だ?! 送辞は首席にさせるって決めた奴は。 そう内心、毒づきながら、俺は仕方なく卒業式へ向かう列に並んだ。 そして、式は無事に終わり、山村はクラスの友人達と記念撮影をしたり、別れを惜しんだりしている。 山村は友人も多いからな。 それだけ人徳ある奴だって事だろ。 「保ー♡鈴木くーん!はい、約束してたネクタイ。送辞、格好良かったよ!」 「ありがとうございます、山村先輩」 「言っとくが、俺は本当に何も要らねーからな」 俺の言葉に、山村は泣きそうな顔になる。 「千夜くん…」 鈴木のメガネの奥の切長の目が座っている。 「あー、山村。ブレザーのボタンくれ」 俺は半ばヤケになって言った。 途端に山村は、いつもの笑顔になる。 「はい、これ。…保、鈴木くん。又、連絡するからね!」
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