40人が本棚に入れています
本棚に追加
思い掛けず
もし、屋敷に帰る時は、組員の田中に車で迎えに来てもらえば良い。
そう思っている内に、マンションから程近い繁華街にたどり着いた。
朝と言っても、もう10時を過ぎてるから、店も開いてるし、人の数も多い。
人波を縫うように歩いて路地裏に面した通路に差し掛かった時だった。
「オラオラ、女連れだと思って良い気になってんじゃねーぞ!」
「い、良い気になんて…」
「お願い、やめて!」
路地裏から聞こえてきた声に、俺は何気なく目をやる。
と、チンピラ風の男に胸ぐらを掴まれたサラリーマン風の男、それから、連れなのかOL風の女が居た。
サラリーマンはスーツもボロボロ、身体は見えねーが顔からは血が出ている。
どうやら、チンピラに相当やられた様だ。
と、女の方は今にも泣きそうな顔をしてる。
少し派手だが、なかなかの美人だ。
と、その女と目が合った。
「お願い!そこの子、警察を呼んで!」
女の声に男2人も俺を見る。
「た、助けて下さい…」
「ああ?まだ学生じゃねーか。おい、ガキ。警察呼んだら、どうなるか解ってんだろうな?」
チンピラがサラリーマンを離すと、俺に向かって凄む。
哀れ、サラリーマンは路地裏で倒れ込んだ。
俺は路地裏に入って行きながら言った。
最初のコメントを投稿しよう!