35人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ
杏奈の逆襲
次の日の日曜日。
さあ寝るかっていう時、俺の携帯に電話が掛かってきた。
何気なく表示を見ると、『鈴木』になっている。
俺は昨日ペットショップで鈴木と別れたままだった。
気持ちの整理がついたんだろうか?
俺は迷わず電話に出た。
「もしもし」
『もしもし、千夜くん。昨日は済みませんでした』
「気にすんなよ。俺も悪かったしな。でも言い訳させてもらうと香澄に告られたのは、昨日チンピラ達に絡まれてた香澄を助けた後で…報告する余裕がなかったんだ」
『その辺の事情は諸橋さんからも聞きました。千夜くん、僕、諸橋さんと話して家に帰ってから一晩中考えていました。お2人の事』
一晩中…眠れなかったんだろうな、鈴木の奴。
声に疲労を感じるのはそのせいか。
俺は鈴木の痛みは想像でしか、解ってやれねーが、初めて女を好きになって振られたんだ。
きっと友情と恋心の間でスゲー辛い思いをしたに違いねー。
「鈴木…悪りぃ」
『そんな謝らないでください。僕、お2人を応援しようって決めたんですから』
「鈴木…良いのか?」
『はい。僕がどんなに諸橋さんの事を想っていても、諸橋さんが千夜くんを好きで、千夜くんも諸橋さんを好きなら、仕方ないのかなって思いまして…。せめて僕にとって大事なお2人には幸せになって欲しいんです』
「鈴木…」
『この話はここで終わりにしましょう。千夜くん、明日、学園でお会いしましょう』
鈴木は、そう言うと電話を切った。
最初のコメントを投稿しよう!