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月曜日。
歩いて登校してると、校門前で後ろから「千夜くん、待ってー」
と、香澄の声で呼び止められる。
振り返ると香澄がカバンを持って、こっちに走ってくるのが見えた。
「よお、香澄」
「おはよう、千夜くん。教室まで一緒に行かない?」
「構わねーぜ。そういや、昨日、鈴木から連絡が有ってさ。俺等の事、応援することに決めたってよ」
「そう…良かったけど、手離しでは喜べないわね。そう言えば私、千夜くんの連絡先、知らないわ」
「何だったら今、交換しようぜ」
俺は担いでいたカバンを降ろすと、携帯を取り出した。
香澄も立ち止まって携帯を取り出す。
そして、俺と香澄は互いの連絡先を交換した。
携帯をしまうと、香澄が小さく「あ…」と呟く。
目線の先には別れた筈の杏奈の車が在った。
杏奈が車から降りてきながら俺等の方へ歩いてくる。
「急に別れるなんて言うから、何かと思ったら。なるほど…そういう事」
俺は香澄を後ろに庇うと、杏奈と対峙した。
「何の用だよ?」
「あら、冷たいじゃない。何度もセックスした仲なのに」
要らねー事を言う杏奈に、香澄が小さく「セックス…」と呟くのが聞こえた。
「過去の話だ。今はもう関係ねー」
「あら、そう。子供が出来たって言っても?」
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