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杏奈のマンションの場所から住所を割り出すのは、大体の場所を告げた。
ところが、鈴木によると、杏奈がもう1度俺の前に現れると決まった訳ではないし、手紙と写メを会社に持って行くのは最後の手段だと言う話だった。
次の日。
「「千夜くん!」」
教室に入ったところで、香澄と鈴木に出迎えられた。
香澄とハグした後、鈴木とも握手する。
クラスメートの手前、杏奈の事は話せなかったが、俺は杏奈の気持ちを踏み躙っていたんだな…。
「香澄。今度の休みの日に黒髪のヴィッグを買いに行くのを付き合ってくれねーか?」
「良いけど…染める事は考えていないの?」
「それに千夜くん。ほとぼりが冷めるまで不要不急の外出は控えるべきです」
ほとぼりとは杏奈の事だろ。
香澄にも鈴木にも、杏奈の涙の事は話してなかった。
仕方ねー。
部屋にスイーツの雑誌が在るから、難しいが、その雑誌の写真を参考に作ってみるか。
後はネットで調べるという方法も有る。
「せっかく香澄と居れる時間が増えると思ったんだけどな」
「千夜くん…」
「不純な動機は捨てて下さい」
香澄は顔を赤らめ俯いて、鈴木にはケーキ作りに邪念が入らない様に、たしなめられた。
そうだ。
ケーキの作り方は、幾らでも調べられる。
材料は田中に買ってきてもらうか。
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