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その日の放課後。
俺は担任の教師と生徒指導室に居た。
無論、預けていた手紙を返してもらう為だ。
「確か、この2通だったね。読んで気持ちの良いものではないけど、本当に良いのかい?」
「ああ。杏奈にしてきた事の俺自身への戒めの為でもあるからな。谷崎先生、色々とサンキュー」
「今後、何かあったら1人で解決しようとしないで、我々教師に相談して欲しい」
春日部みてーなのは、ごめんだけどな。
担任の教師はそう言うと席を立った。
俺もカバンに手紙を入れて立ち上がる。
部屋を出ると香澄と鈴木が廊下で待っていた。
「千夜くん、一緒に帰ろ」
香澄が俺に声を掛ける。
鈴木は野良犬達に餌をやってから帰るんだろうが、教師の手前、黙っている。
「「谷崎先生、さようなら」」
香澄と鈴木が教師に向かって頭を下げた。
「3人共、気を付けて帰りなさい」
教師は俺等にそう言い残して、職員室へと去っていった。
3人だけになったところで、鈴木が小声で言う。
「僕は野良犬達に餌をやってから帰ります」
「解ったわ。じゃあ鈴木くん。校庭まで一緒に行きましょ」
「野良犬達の数、べらぼうに増えてるな。気付かれないのが奇跡だぜ」
そんな事をヒソヒソ話しながら、俺等は下駄箱に向かった。
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