41人が本棚に入れています
本棚に追加
鈴木は驚いたように、山村はキョトンとしたように、こっちを見る。
俺は、さっきの吉田ってサラリーマン達の件を、かくかくしかじかと、2人に話して聞かせた。
「保、格好良い!」
山村はドッグフードを抱えたまま、俺に擦り寄ってくるが、俺は腕を伸ばして手のひらで山村との距離を取る。
「荷物まで持って近寄ってくんな」
「じゃあ、荷物持ってない時に、腕組もう!」
「そういう問題じゃねー」
これじゃあ、まるで掛け合い漫才だ。
「これだけ人が居れば、そういういざこざも出てくるでしょう」
鈴木は続ける。
「それよりも、そのOLの女性を千夜くんが、よく口説かなかったなと思いまして」
「吉田が彼氏だったら、マズいだろ」
「保には、僕がいるもんね!」
「…それよりも、あんた等これからどうするんだ?」
この際、山村の事はシカトする。
「このまま一旦、家に帰ります。このドッグフードは予備用ですし。一応、制服に着替えないと餌も、やりに行けませんし」
隠れて餌をやるなら私服姿でも良い様な気もするが、そこは真面目な鈴木らしい。
俺も今日は田中に迎えに来させて屋敷に帰る事にした。
鈴木と山村も途中まで…と思ったが、鈴木はともかく山村は俺が極道の息子だとは知らねー。
最初のコメントを投稿しよう!