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「僕も専門学校行ったら、彼女出来るかなぁ」
卒業式を間近に控えた山村が、期待と不安を内混ぜにした様な声色で言った。
そうか…学園で山村に会うのも残り僅か、か。
ま、でも連絡先は交換してるし、良いのか悪いのか、山村が高校を卒業しても縁は続きそうな気がする。
「山村先輩なら出来ますよ。高校は男子校でしたからね」
男子校でも俺みてーに彼女出来る奴は出来るけどな。
「そういや、来年度から共学になるらしいな」
「僕が卒業した途端に…でも、調理も恋愛も頑張る!」
山村は、夏休みの料理コンテストで審査員の男に誘われた調理師専門学校への進学が決まっている。
まあ調理はともかく、恋愛の方はどうだかわっかんねーけどな。
「頑張ってください、山村先輩!卒業式にはネクタイくださいね」
「うん、良いよー。保も何か欲しい?」
山村は目をキラキラさせて、俺を見上げるが。
「いや、いい。…って、どうした?山村」
俺の返事に山村は、ガックシ項垂れた。
「千夜くん、山村先輩が卒業したら、今までのように毎日会えなくなるんですよ?」
「じゃあ、今度ラーメン奢れ」
「千夜くん?!普通は卒業祝いに僕達が山村先輩に奢るんでしょう!」
鈴木は、こめかみを押さえながら俺に言った。
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