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 最初に会ったときは『近所のお兄ちゃん』だったんだ。わたしが小学一年生で、彼は六年生だった。同じ小学生だというのに、すっごくしっかりして見えて、憧れた。  彼は早々にランドセルを卒業して、真っ黒な制服に身を包んだ。わたしがやっと中学生になったころには、彼はもう大学受験に向けて勉強していた。追いかけても追いかけても、わたしたちの差は縮まらなくて。永遠に終わらない追いかけっこをしている気分だった。だから、こんな日が訪れるなんて、夢にも思わなかった。
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