漬物屋の女房

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 でも人を思うことは妄想かと言うとそういうことではないということを彼は知っていた。  人を思うことは大切なことだと彼は思っていた。 「おいらも考えたんだ」欽次は店番をしている男と話していた。 「何ですか?」 「おこそのことだよ」 「そうですか」  そのあとは続かない。おこそへの思いが強すぎて言葉がついていけないのだった。
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