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女を見てもときめかないけれど、いなくなった女房との仲はそれだけのものだったのだという幸せ者なのだと、欽次は気分よくなったのであった。
連れ合いがいなくなるというのは寂しいが、ある意味仕方ないことだと彼は考えていたのだ。いつかは来る日だと彼は自分を励ました。そしていつかは再会するものだのである。彼は宗教のことは全然わからないし興味はないが、そのくらいのことは自分で考えられる。そういうことなのだ。彼には人の死んだ後のことなどさっぱりわからなかった。
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