漬物屋の女房

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 そばを食ってすっかり機嫌はよくなった欽次だった。吉原には行く気はしなかったし。彼は女とするからいいのではなかった。女房だからよかったのであった。あんないい女はめったにいない、と欽次は思い出していた。 「新しいかみさんもらえばいいのに」そんなことを言うものはいたが彼はその気にならなかった。誰でもいい訳ではなかった。  おこそのありがたみはだんだん分かってきたのであった、彼にとって大切な人だったのだ。 「そのうちなんかいいことあるよ」と八百屋の男は言っていた。そんな時は一緒に座敷に言って噺家の姿を観に行ったりしていた。
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