5人が本棚に入れています
本棚に追加
そばを食ってすっかり機嫌はよくなった欽次だった。吉原には行く気はしなかったし。彼は女とするからいいのではなかった。女房だからよかったのであった。あんないい女はめったにいない、と欽次は思い出していた。
「新しいかみさんもらえばいいのに」そんなことを言うものはいたが彼はその気にならなかった。誰でもいい訳ではなかった。
おこそのありがたみはだんだん分かってきたのであった、彼にとって大切な人だったのだ。
「そのうちなんかいいことあるよ」と八百屋の男は言っていた。そんな時は一緒に座敷に言って噺家の姿を観に行ったりしていた。
最初のコメントを投稿しよう!