フレーバー 敬語・片思い・ヤンデレ気味・長身だとなお良し

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フレーバー 敬語・片思い・ヤンデレ気味・長身だとなお良し

 あなたはいつも笑うから、辛いことも嫌なことも全部忘れられた。  小柄で華奢な体は、いつもキラキラと輝いていて、自分のブラックホールのような卑屈な世界で唯一の光だった。  あなたが『学園』に行くと聞いたときは、まるで地面にズブズブと死んでいくような錯覚をした。  あなたが目の前から去ってからしばらく、自分も『学園』に入学した。だけど、そこにもうあなたはいなかった。  あの、純粋で朗らかな笑顔は自分ではないダレカへ向けられていて、自分だけが呼んでいたその名前は他のダレカに呼ばせていた。  知らないー  知らないー  知らないー  あんな風にはにかむ表情を自分は知らない。  あんな風に笑い合う相手を自分は知らない。  あんな風に乱れ狂う艶声を自分は知らない。  ある日、あの人の恋人だと名乗るダレカに忠告をされた。 「これ以上あいつに付き纏うな。これが最初で最後の忠告だ。」  その眼は、ゾクゾクする程の殺意と敵意に満ち溢れていた。  でも、その程度の殺意と敵意には慣れているから、まるで可愛らしい子猫がシャーシャー威嚇しているようにしか見えなかった。 「あなたに、そんなことを言われる筋合いはありませんよ。子猫さん?」  そう言い返したのが悪かったのだろうか、次の日、また同じヤツがやってき て、自分の真っ白なカッターシャツを深紅のぼろ切れにしていった。  その日を境に、あの人が私に向ける視線は『敵意』や『殺意』『軽蔑』『嘲弄』が濃縮されていた。  自分にとっては取るに足らないソレ(視線)だったけれども、あの人から向けられたものだと思うと、左胸が握り潰されるような、切れ味の悪い刃物で滅多刺しにされたような初めての痛みに襲われた。  とても痛いー  とても痛いー  とても痛いー  左胸に鎮座する臓器がとても痛い。  あなたに殴られた頬がとても痛い。  痛くもないのに全身がとても痛い。  居たいー  居たいー  居たいー  ずっと、あなたのそばに居たい。  ずっと、ずっと、ずっと…  原因不明の激痛に喘ぐある日、中庭から恋人たちだろうか、無駄に大きな声が聞こえてきた。  「ずっと、お前のことが好きだった。俺と付き合ってくれ、ーー。」  ハッキリと呼ばれたその名前はまごうことなく、あなたの物で、イケナイとは思いつつも、風下に移動した。  ヤメテクレと心が叫んでいた。これ以上聞きたくないと。  しかし、自分の体は言う事を聞いてくれない。 「ボクも、ーーのことが、初めて会った時から好きだったんだ。……こんなの夢みたい。」  あなたがそう言った瞬間、長年の想いは粉々に砕け散った。 「ーー。愛している。」  晴れて、あの人の恋人となった誰かの声に、こう思った。   ー私も同じ気持ちだったー
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