勘違いはステキなはじまり

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『そっか、じゃあ私も行こうかな。晴人も来るかな?』  晴人と潤はサッカー部で、茉莉はサッカー部のマネージャーをしていたから、もしかしたら何か知っているかもしれないと思い聞いてみることにした。  晴人と潤とは、五年ぶりに同窓会で再会したものの席も離れていたのでなかなか話す機会もなく、晴人はこれから出張の前泊だから二次会には行けないという話し声が聞こえてきた。  一次会がお開きになり、店先で晴人が順にみんなから声をかけられている姿を横目にしつつ、私は見て見ぬふりで自分からは近寄ることも、話しかけることもできなかった。  そんな様子を見ていたのか、隣にいた茉莉が話しかけてきた。 「冴彩(さえ)いいの?晴人帰っちゃうよ」 「うん……」 「次は五年後になるかもしれないよ?」 「うん……わかってる。でも、なにも始まってなんかなかったし、なにもない関係だったから」  すると潤が、優しい声で話しかけてきた。 「冴彩、いいのか?あいつ、近々海外へ転勤になるって言ってたよ」  ──えっ?  その言葉を聞いて、なんだかもうじっとしていることができなくて、思うより先に声が出た。 「晴人!またね!」 「おうっ!またな冴彩!」  晴人は軽く手を挙げそう言うと、背を向けて歩き出した。 私は少しだけ挙げた右手を握りしめ、見えなくなるまでずっと見送っていた。
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