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「あっ、てっめぇ!フザけんじゃねぇぞっ!」  同じゲーム機を持ってそれぞれ片手はテーブルにあるお菓子に伸びる。 「うっせ!やったモン勝ちだっつの!」  ひひっと笑ってガッツポーズをするその姿は幼稚園児の頃とさほど変わらない。 「たつきぃ!これは俺の勝ちな〜?」 「はっ、あんまりそーまが下手くそだからちょっと手ぇ抜いてやったんだっつの!」  小学生になって(たつき)壮馬(そうま)は毎日学校が終わってからは壮馬の家でゲーム三昧だ。  小四になってもそのやり取りはあの頃のまま。 「もーゆるさねぇ!なら、サッカーで勝負だ!」 「俺が勝つじゃん」 「わかんねぇだろーがっ!!」  言いながら立ち上がってサッカーボールを持って外に出る。  同じボールを追いかけて走って、騒いで、笑って、 「マジ、ゆるさねぇ!」 「ははっ!頑張れー!」  樹が軽々とボールをトラップして壮馬は必死に追いかけた。 「そーまもサッカーうまくなって中学は一緒に試合出て勝とうな!」 「おぅっ!俺がシュート決めてやるから拝んどけ!」 「何だそれっ!」  ケタケタと笑いながら二人で走る。  たいして広くはない庭でいつまでも笑い声をあげて。  “ゆるさねぇ”なんてただの言葉で意味は成さず、言いながら肩を組めるほど。
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