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 持っていたクレヨンを投げつけて、 「たっくんなんて、もーゆるさないもんねっ!!」  フンッとそっぽを向くと、言われたたっくんだって、 「べつにぼくはわるくないもんねーだ!そうくんのてがあたったから、ギーってなったんだもん!」  そうくんとは反対の方を向いて二人は目も合わなくなる。  さっきまでお互いの画用紙を見せ合って、 「ほら!このくるまカッコいいでしょー!」 「すっげぇ!そうくん、てんさいじゃん!」  なんて笑っていたくせに。  片付けだって二人は別々で、それぞれの友達と手を繋いだりして画用紙を並べる。  そうくんの描いた車にたっくんが描いてしまった紫の線。  ぶつかったそうくんの腕によって歪な形になったたっくんのブドウ。  どちらだって一所懸命描いていた時の些細なトラブルなのに。 「みんな、お片付け上手だったからお外で遊ぼっか!」  先生が声を掛けると、園児たちは目を輝かせて我先にと自分の帽子を取りに走った。 「「あ……」」  隣同士の二人は一瞬ためらう。だが、 「はい、たっくんの」 「ありがとう!ねぇ!いっしょにすべりだいしよー!」 「うんっ!」  そうくんがたっくんの帽子を差し出すと、帽子を被ったたっくんは手を伸ばして二人は手を繋いで走って行った。  “ゆるさない”とそっぽを向いたのはほんの数分。
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