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「利用価値のある御二方が残られたのは、不幸中の幸いでしたね。人材面でも資金面でも」
「それでも我らの大望に齟齬が生じたのは事実。我が神への供物はどうしたものか…」
「それは司祭殿がツテがあると仰っておられたのでお任せして宜しいかと」
「しかし…貴殿に掛かればあの堅物司祭さえもあっさりと背教するとは。子爵様は兎も角」
「私は少しだけお二人に囁いただけでございますよ?あとは彼ら自身の意志ですよ」
女はコロコロと、耳心地の良い笑い声をあげる
「聖職者とは言え、貴殿達に掛かれば只のオスでしかないということかな」
「少しだけ日頃の鬱憤を晴らさせてあげただけですわ?」
そう言って外したフードから現れたのは、この世のものとは思えない美貌の女だった
しかしそれは神の手によるものでも人の手によるものでもない美しさだ
闇よりも黒い髪にやや吊り気味の金色の瞳、スッキリとした鼻梁、やや厚めの真紅の口唇、これだけを取れば確かに絶世の美女であろう
決定的に違うのは先ずその瞳
瞳孔の中央が縦なのだ。爬虫類を思わせるような
俗に言う、悪魔族の証だ
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