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1.幼い日の夢
桃山 甘寧(ももやま あまね)は、保育園のときに、引っ越していった男の子から、別れ際に、黄色いノートをもらった。そこには、自作のなぞなぞや迷路が、たくさん書いてあって、男の子は小さな声で、何かを告げた。
「この謎が解けたら……」
それから9年、ノートの最後の謎が解けぬまま、甘寧は中学生3年生になっていた。同じクラスの本郷圭太(ほんごう けいた)から、騙し討ちのように、やりたくもない文化祭委員に巻き込まれ、憤慨していた甘寧だったが、圭太が、文化祭委員の会合で、謎解きを絡めた企画を提案する。
謎解きというワードに、なぜ今更、9年前のことを思い出すのだろうかと不思議に思う。あの男の子は、最後に何と言ったのか。
9年間、眠り続けてきた謎と気持ちが動き出す。
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