第七章

2/2
前へ
/321ページ
次へ
その日は珍しく娘が泊まりに来ていた。みっちゃんに宜しくと頼まれて、姿形が見えないのが悔しかったが、隣に寝ていると聞いてテンションが上がっていた。 すると、いきなりみっちゃんの声が機械のような声になった。 「こいつ(茂樹)の体を借りてテレパシーで今から話をします」 何が何だか分からなかった。 「釜を持ってマントを着た男がちぃさんをよろしくない別世界に連れて行こうとしてたわ」 と聞かされた。 「れいちゃんがメッて言ってたわ。怖くねーのかな」 娘が異変に気付いて目を覚まし、時間を稼ぎながらみっちゃんを呼んでくれたらしい。みっちゃんが相手の釜をへし折ったらいなくなったらしく、下手したら僕は死んでいたらしい。 その後、人を間違えた死神が通ったらしく、心配してくれたのかちょこちょこ家に来てくれているらしい。 因みに、釜を持ってマントを着た男に襲われそうになった日は 「ママが居なくなると嫌だから私はここに居ます」 と言っていたらしい。 彼氏に「泣いていいよ」とこの話をしたら 「ちぃは泣いたの」と聞かれた。 「泣いてないよ。泣きそうになっただけ」 と言うと 「ちぃが泣いてないのに俺が泣けるか」 と怒られてしまった。 でも、凄く嬉しくて今でも鮮明に覚えている。
/321ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加