85人が本棚に入れています
本棚に追加
「ぅ、う…。」
燃えるような感覚に侵され、徐々に意識が覚醒する。途端にズキリと頭が痛みを主張し、呻き声が自然と漏れ出た。なにやら異様に体があつい。
腕に力を入れるが上手く力が入らず結局出来ずに失敗に終わってしまった事で俺は自分が寝ている事に気付く。
その時、痛む頭に劈くような歓声にも似た声たちが聞こえ、続いて徐々に近付いてくる足音。
混乱する頭の中、咄嗟に腕が前方へと引っ張られ、背中に何かが触れる。どうやら起き上がらない俺の上半身を支えて起き上がらせてくれているらしい。
ズキズキと痛む頭を抑え、どうにか目蓋を開くと突き刺すような光に目が眩んだ。
「~~?……ーー、ーー」
「は、ぅ……。」
光に慣れた目に入ってきたのは煌びやかな衣装を身にまとい、まるで物語りの中のように輝く1人の男だった。ハンサムカットと呼ばれるような髪型に、髪色はこれまた綺麗な輝くプラチナブロンド。青い瞳、左右差のない均等の取れた配置の顔、パーツ一つ一つも整いすぎるほど整っていて好みの男だ…といつもの悪癖で考えて居たが、続いて耳に入ってくる音を聞きぼんやりとしていた頭がサッと切り替わる。
耳慣れた言葉では、ない。
「ちょ、ちょっと待って。何言ってんの?」
「…~!?ー!」
「怒ってる…のか?」
俺が日本語を話した途端、男の表情が厳しいものに変わる。覗き込んでいた時はこちらの様子を伺うように少し心配そうにしていたにも関わらず今は氷のように冷たい表情で誰かを見据えている。
横顔しか見えないがそれだけでも十分怒っていそうな雰囲気は伝わってきて思わず身体が固まる。
彼の視線の追い、彼の肩越しに後ろを覗くと魔道士が着るような長い白のロープに身を包んだ男達が居た。
可哀想な程顔を真っ青にした5人が今にも倒れそうな勢いでまた訳の分からない言葉を喋っている。聞いているが英語でさえ無さそうなので俺にはさっぱりだ。
すると魔道士のような男たちの中から1番中央にいた男がこちらへ来て何かを彼に差し出している。彼はそれを受け取ると再びこちらに振り返った。
「…ーー、ーーーー」
「なに、飲めって?これを?」
最初のコメントを投稿しよう!