愛してる つぐみside

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愛してる つぐみside

私、山本つぐみはこの春大学を卒業し、桜蘭保育園で保育士として勤め始めた。 大学に入るまでは自分のなりたいものがなんなのか漠然としていて、夢に向かって突き進む周りの人達を羨ましいと思っていたけれど、当時私の家庭教師をしてくれていた弘毅が「大学に入ってからやりたいことを見つけてもいいんじゃない?」と言ってくれたので、私は大学入試を頑張れた。 大学に入って私は児童ボランティアサークルに入った。 主な活動は、保育園や児童館で人形劇や紙芝居をやったり、折り紙をして遊んだり、絵本を読み聞かせたり、といった子供達が喜ぶようなことをボランティアで行うこと。 元々子供は好きだったけれど、それまで直接触れ合う機会がなかったので最初はちょっと不安だった。 けれど活動を始めたその日から可愛い子供達との交流にハマってしまい、子供達の笑顔の為ならなんでも出来る、と思ったものだ。 特に私が好きなのは絵本の読み聞かせだった。 幼い頃は叔父である信二兄ちゃんに、絵本を読み聞かせてもらうことが大好きだった。 絵本を読んでいるとその物語に引き込まれて、嬉しくなったり、悲しくて涙が出たり、びっくりしたり、絵本の登場人物達と色んな体験が出来る。 特に私のお気に入りの絵本は「100万回生きたねこ」 幼い頃読んでもらったときは、よく意味はわからなかったけど、何故だか最後に心がふんわり温かくなって、泣きたくなった。 だけど今読み返すとよくわかる。 本当に大切な人に巡り合えることは、気が遠くなるほどの奇跡であり、人生で一番の幸せなんだってことを・・・。 そんなボランティア活動を続けていくうちに、私は子供達の世話が出来る仕事をしてみたい、と思うようになった。 そしてそれは保育士になる、という夢に変わっていった。 幸運なことに私の入学した大学には保育士になる学科があったので、そこで必要な単位をとり、保育士の資格を取るのに必死で勉強して、なんとか保育士として就職することが出来た。
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