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好き、だからな
『俺の為…ですか?』
「当たり前だ、好き、だからな」
『うぅ…洋さん…俺、俺も…』
「わかってる、それよりもう泣くな。一週間も放置された俺が泣きそうだったんだ」
和志はキッとイケメンに戻り、俺を強く抱きしめた。
「もうどこにも行くな」
『はい、もう離れませんから…』
「もう死ぬなんて言うな」
『……』
「いいな?」
『あの時…麗子さんが妊娠したって聞いた時…結局嘘だったんですけど…洋さんを抱く前だったら、苦しくても笑っておめでとうって言ったと思います。だけど…もうあなたの熱を知ってしまったから、失うなら生きていられないって思いました…だから、一度だけだったけど、あなたを抱いた事だけを覚えたまま死んでしまいたかった。けど、あなたが俺以外の誰かと幸せになることにも耐えられない…ならば一緒にと…』
「なぁ、俺…引っ越そうかと思う」
『…どこへ?…』
「次の部屋は…2LDKぐらいでいいか?寝室には大きめのベッドを買おう」
『……』
「会社から少し離れたとこで…通勤は大変かもしれないけど…」
『……』
「一緒に…俺と一緒に…幸せにならないか?」
『…俺と?』
「ああ…お前が…好き、だからな」
『洋さん…』
お互いに抱きしめる腕に力が込もる。
「うん」
『ずっと、ずーっと…好き、ですから』
END
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