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――こ、こういうこと?
結城くんが言ってた『鈍い』って……こういうこと!?
「こ、これ、個人的に、荷物送るときに連絡くれってことじゃなくて、その、荷物関係なくても連絡してねって……ことなんですかね?」
「そりゃそうよぉ。――それ以外ないでしょぉ?」
大塚さんが不思議そうに言う。
私は思わず笑ってしまった。
――そっか。私確かに鈍かったわ、結城くん。
もらった名刺をレトロな制服のポケットに仕舞い、私は大塚さんの肩を押した。
「じゃ、続きやりましょ、大塚さん。案内所の中から、春にしていかなきゃ」
「そうね、じゃあ、あそこのかまくらの写真を外して……」
「あ、あと、そろそろこの『ミス枝豆』、名札から外しても……」
「それは駄目よぉ!円ちゃんは我が案内所の看板なんだから」
「えぇー……」
嫌でも春は来る。
来てしまう。
冬の間、私はきみに恋していたよ。
実は、今も変わらず。
―終―
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