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「レイさん!」
「形成逆転ってやつかぁ?」
髪を掴んだまま、レイさんを壁際へ追い込む。
そして、その手を今度は額へ持っていき、壁に頭を打ち付けた。
鈍い音が響いて、思わず目を背ける。
(早く、早く解かないと…!)
もう片方のロープを片手で必死に解こうとする。
でも、すごくきつくてなかなかゆるまない。
「痛かっただろ?えぇ?」
さっきまであんなに青筋を立てていたのに、一瞬意識が飛びそうになったレイさんを見て、男は見下すような笑みを浮かべた。
ぎりぎりと力を込めて、彼は本当に苦しそうな声を上げた。
「…本当、ちんぴらみたいなことしかできない方ですね。
貴方みたいな人が社長と釣り合うと本気でお思いで?」
それでもなお、レイさんも挑発をする。
きっと、少しでも長く俺に意識を向けさせないためなのだろうけど…。
その言葉を聞いて、本気でキレたようだった。
もう一度、頭を壁に打ち付ける。
「あ゛ッ!!」
「…いいか?これはさっきてめぇが俺に与えた痛みのお返しだ。
…そんで」
男は頭を掴んでいる反対の手を振り上げる。
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