悪夢

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遠くに好きな人の後ろ姿が見える。 だけど、声をかけようとしても、その人の名前を呼ぼうとしても、喉で何かがつっかえているかのように何も言葉が出ない。 体も金縛りにあったかのように動けない。 彼がゆっくり振り返る。 表情は何故か読み取れないけど、彼の口は、はっきりとこう言った。 「市ノ宮、もうこんな関係終わりにしよう。俺、お前とは」 友達でいたいんだ。 「―――ッ!」 はっとして、目を開く。 その反動で体が動いたのか、がたっと椅子が揺れた。 息が荒くなる。動悸が収まらない。 額には汗をびっしょりかいていた。 「…………夢……」 目を開けて見えたのはいつもの社長室。 見慣れた場所に安堵して息を吐き出した。 だが、見た夢は。 「……最悪………………」
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