酔っ払いの俺と超常現象

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「何だこれは……」  トイレに入った俺は、違和感を感じた。  便器が洋式ではない。  和式である。  便器の中を(のぞ)くと、()み取り式であることがわかる。  俺ん()の便所は、洋式の水洗便所だ。  和式のぼっとん便所ではない。  しかも、トイレットペーパーが置かれてない。  代わりに籠があって、その中に落とし紙が何枚も積み上げられている。  ――俺は違う家に入ってしまったのか?  ――いや、違う。  ――今時、落とし紙なんて使ってる家あるのか?  ――あるかもしれんが、近所にあるのか?  ――いや、ないだろう。  ――そういえば、この光景、どこかで見たことがある。  ――昔の実家の便所と同じなんだ。  どうやら俺はトイレに入った途端、タイムリープと瞬間移動を同時にしてしまったらしい。  いや、されたといった方が正解かもしれない。  そんなことよりも、さっきから漏れそうでしかたがない!  細かいことなんて気にせず、さっさとしてしまおう。  俺はズボンとパンツを下ろし、便器をまたぐようにしてしゃがむ。  そして、力む。 「むん!」
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