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結婚式で真の姿を晒したラーナ様は巨大蛙となって、私をひとのみするのではないだろうか。その直前にそんな演出が入るのはどうなのか。私の戸惑いをよそに、ラーナ様の話は続いていた。
「あー、やっぱり納得いかない。この姿になったのはもういいとして、あれの仕込んだ薬で強制解除のままなのは嫌だ。やり直したい。俺、もう一度変身するから、今度はイルダが解除してくれる?」
そう言って瞳を見つめたまま、ラーナ様が私の髪の毛に口付ける。生身の男性のその仕草に、目付きに、私の鼓動が高まり、呼吸の仕方を忘れてしまいそうになった。
「えっと、どうすれば」
「蛙になった俺にキスをして」
「キス?」
ピンとこずに単語を繰り返すと、ラーナ様が無言で自分の唇を指差して軽く叩いた。ようやくキスとはなにか思い出し、一気に顔が火照る。
「え? あっ、えっ!」
「蛙にキスをするなんて、普通は気持ち悪いよね。でも、イルダならしてくれると思った」
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