その4

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「……その時に、わざと蛙の格好にした?」 「そう。その格好で、この国を救って欲しいなら王族の娘を差し出せと交換条件を持ちかけた。反応をみるためにね」  当時、王族には姉姫様しかいなかった。もちろん蛙なんて見るのも嫌な姉姫様は、さぞかし荒れたことだろう。 「条件を言った直後のあれの逆上っぷりは凄かったな。当時十三歳か。王族ならもっと分別があってよい歳だと思うが、まあひどかった。王も器でないなら、その娘も然りだ。で、相手するのが面倒だったので、お前が来るなら結婚式の次の日に食ってやるって言ったんだ。と思う」 「思う?」 「本気で言ったわけでは無いので、あんまりよく覚えてはいない」  なんだか言い方が適当だ。でもその軽さゆえに、相手への関心の無さがよく分かる。覚えておく価値もないので記憶もすぐに抜け落ちたのだろう。
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