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このときの言葉が巡り巡って私の人生に響いていると思うと複雑な気持ちにはなるけれど、『食べられる』とさんざん言っていたのは姉姫様だ。最初以降はなにも言っていないラーナ様を責めることは出来ない。
「それで翌年この国を訪れたら、花嫁候補が代わっていた」
「あ、私……」
「明らかにどこかから引っ張り出され、急に押し付けられたにも関わらず、そのお姫様は泣き言一つもいわずに受け入れた。だから興味がわいて、賭けてみることにしたんだ」
言いながら、掴んだ私の指先に唇を落とす。その甘い笑顔と言葉の不穏さに私の気分は落ち着かず、ソワソワとしてしまう。
「賭けとは」
「お姫様があの父娘から虐待を受けたり殺されたりしないで、きちんと健やかに育つこと。毎年確認しに来て約束が守れないようなら、その時点でこの国を滅ぼそうと思ってた」
私の成長がこの国の命運を左右していたなんて、怖すぎる。思わずひゅっと息を飲んで、固まってしまった。
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