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———ヘファイストス神殿国。
「終末」に対抗する「救世主」……いや、「予言の子」を育むために発足した、ヘファイストスの骸を軸とした神殿国である。
現国王、ヴァーサ・セイバーは、「カミ」の接近にも気が付いていた。
国宮殿神殿棟———そこに座する機神「ヘファイストス」にヴァーサが祈りを捧げている時、一つの天啓があったのだ。
「機神ハ迫ル。神核ヲ取リ出シ鋳造セヨ、神威ヲ」
「…………ってな、お告げだ。黒、頼めるか?」
「俺のハンパな概念法術如きで……あの神核を抽出しろ、と……そう申すのですか、国王陛下」
「……………………国王陛下、なんてカタい言葉はやめろと言ったはずだ……そんなに不安なら占いのババアに聞いてこい。おそらく……お前ならできるって予言してくれるからな」
この男……黒は、ヴァーサの影武者として…………いや、今やただの召使いとして、ヘファイストス神殿国で働く男である。
当時の黒の年齢は19才。まだまだ未熟な青二才である彼に投げかけられたのが、「既に死した機神の神核を概念法術で取り出して、神威とかいう刀に刻み込んでね」だとか言う無理難題であった。
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