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だからこそ黒が向かったのは、「占いのババア」の下である。
「おはよう……ございます」
「あ……おお、黒か……今日はどんな……ご用件じゃ……?」
「占いのババア」———本名をギン、と言うが、この老婆は未来に関するあらゆる事を予言してくれる、この神殿国にとってもかなり大事な人だ。
その正体は———元魔王軍幹部。「居心地が悪い」だか何だか口にして、問答無用で魔王城から出てきたらしい。
魔王城ってそんなに簡単に出入りできたりするのか……?
「……それで、俺の今後……具体的には……神威…? だとか言う刀に関する事で予言してほしい」
「………………作れない」
「へ?」
「作れない、お主には神威は作れない、と言っておるんじゃ」
未来に関するあらゆる事を予言してくれる老婆。その老婆が言うのだから、それは全くもって嘘偽りではないのだろう。
……だけど、必ずしも自分に有利な予言をしてくれるわけでもないからにして…………え?
「作れない……作れない、って、じゃあ誰が神威を完成させるんだ……?」
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