水曜日、午後3時。

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約束が果たせない失敗の日だってある。 5時間目の理科の実験で片付けに時間がかかり、そんな日に限って帰りの会の先生の話が長い時。 急いでイチョウの木の前に行き、すでに揃っている下校班のメンバーに遅くなった事を謝る。 「じゃあ行くよ」 班長の男子が怪訝そうに言うと一列になってゾロゾロ歩き出す。 早く歩いて、、 、 心の中でそう思いながら無言で班長の後に続く。 下校班なんて最初だけで家に着く頃にはバラバラでみんな各々友達と喋ったり1人スタスタ帰ったり、ダラダラしている子だっている。 でも学校を出たばかりじゃ校門に立っている先生の目もあり班長を抜かす事は出来ない。 早く歩いて、、、 祈るようにそろそろ見えてくるあの公園の方を見つめる。 いない? いま何時だろう? 焦る思いが班長のランドセルを押してしまう。 「なに?」 また怪訝そうに班長が振り向く。 「あっ、ごめん、なんでもない」 公園の入り口が見えてくると同時にしゅん君の姿がない事を確認する。 公園の時計を見ると3時3分。 間に合わなかった、、、3時1分解散なんて早すぎる。 もうちょっと待っていてくれてもいいのに、、、 怒りたい様な泣きたい様な悲しい気持ちで公園の横を通り過ぎる。 3時の約束をした日、しゅん君はこう言った。 「公園で何分も待ってたらいかにも待ち合わせしてるみたいで恥ずかしいだろ!1分でいいんだ!3時1分を過ぎたら一人で帰る。待たない。来週のお楽しみって事だ!!」 得意げな表情で、でも少し赤らんだ頬の色が私の顔まで赤く染めていった事をよく覚えている。 天然パーマで少しカールした茶色い柔らかそうな髪のしゅん君は、その髪の毛みたいに柔らかな表情でいつも笑っててたまに照れて可愛くておもしろい。 あと、天気予報は絶対に見ない。 明日の朝一番の楽しみがなくなっちゃうから。 「明日になってからのお楽しみって事だ!!」 と、私にいつもの笑顔で教えてくれた。 今日は喋れなかったな、、、何話すか決めてたのに、、、 ブツブツ言いながら班長の後ろをトボトボと歩き続ける。 右側に歩道橋が見えた時、「来週のお楽しみって事だ!!」としゅん君が言っている姿がふと頭に浮かんで1人声を出し笑ってしまう。 するとまた班長が後ろを振り返りジロリと私の顔を睨んできたので、とびきりの笑顔を返して見せる。
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