ひたすら泣く直之

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「すみません、 すみません! 申し訳ないです。 許してください、 もう二度としません。 明美に酷い別れ方をしたし、菜々緒さんの店で勤める事もできません。許してください」 土下座して泣きながら謝り続ける直之の頭を溝口は踏みつけた。 「オメェの言う謝罪の言葉は聞きたかねぇんだよ。 金、持ってきてから許してくださいって言うのが道理だろ」 中村はがっかりしたように溝口の足を掴み上げた。 「溝口さん、 直之さんは謝罪してるじゃないですか! それを踏みつけるなんて、あんまりじゃないですか」 「中村さん、 このグズリん坊の直之に教えてるんですよ。謝って済む事ばかりじゃないんです。 踏みつけられるのが嫌なら、やる事をやれるように考える時間を与えてるんですよ····」 「ダメなもんはダメですよ、頭を踏みつけられて考えられないでしょ」 「中村さん、解りましたよ。 おい! グズリん坊、 癇癪起こさずキチンと聞けよ。解ったか」
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