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底をつく
朝から晩まで直也の世話や買い物で学校へ行くどころではなかった。
児相はくる、学校の先生もくる、市役所も来る、電話も鳴る。
直也の買い物をするのにドラッグストアへ行くと高確率で上総に会う。
「お前はオムツと粉ミルクとお尻拭き····会うたび買ってるな」上総はポツリと呟いた。
だって生活必需品だもん。なくちゃダメだから買うんだもん。そういう橘君だっていつも絆創膏や消毒液買ってるじゃない。
「傷が酷いなら病院行けば」悪い噂とは印象が違った上総に直子は余計なお節介と思いながら伝えた。
「闇医者しかしらねぇから行かねえ」直子はやっぱりヤクザが親だからまともな医者には行かないの? 思いながら言葉にはしなかった。
「オムツ持ってやるよ、重いだろ」
ただ同じクラスなだけで荷物を持つと言ってくれる····怪しい。
「大丈夫だよ、家は直ぐだから」
ふんっと鼻をならしてオムツを持つ上総。
「疑ってるんだろ、バカみてぇだな」
クラスで孤立している上総。人への親切なんて只の気まぐれなだけだと直子は思い信用はしてなかったがオムツを持ってもらい帰宅した。
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