35人が本棚に入れています
本棚に追加
誕生と旅立ち
市井 直之に第2子が誕生と共に妻の直美の息が事切れた。
長女の直子は直美の手を握り泣きながら「お母さん」と何度も呼ぶが目覚める事はなかった。
無言の直美と直也を抱え帰宅をした直之は仕事にいかなくなり酒に溺れ生まれたばかりの直也の世話もしなかった。
「お父さんミルクがもうないよ」直子の声も届かない。妻の名前をひたすら呼び続ける直之。
「お父さんお母さんはお骨になっているから返事はしてくれないよ、お金ちょうだい直也のミルク買ってくるから」
直子の声は届かないらしい直也はお腹減ってギャン泣きしている。
もういいよ····ドラッグストアで買ってくるからと思いながら直之の財布を奪い泣き叫んでいる直也に「待っててね」と声をかけてさっさといってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!