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「胡蝶はいるか?鬼の討伐直後に倒れてしまった旭里を診てもらいたいのだが・・・」
それから数分後、伊黒は蓮を抱えて蝶屋敷に辿り着き、庭にいたカナヲに訊ねた。
「師範なら中に居ますよ!呼んで来ますので蛇柱様は此処で待っていて下さい!」
それを聞いたカナヲをそう伊黒に返答して、しのぶを呼びに屋敷の中に入って行った。
「倒れていた蓮君を診てほしいとカナヲから聞きましたが・・・」
暫くして、しのぶが姿を見せて、カナヲから聞いた事を確認するように伊黒に言った。
「ああ・・・俺が鴉に呼ばれて、駆け付けて来た時には旭里は気を失って倒れていたんだ・・・鬼は綺麗に討伐された後だったから運んで来たんだ」
しのぶの言葉に対して、伊黒は蓮の姿を見かけた時の事を詳しく話した。
「そうですか・・・では、カナヲ!蓮君を伊黒さんに代わって、診察室のベッドまで運んで下さい!」
それを聞いたしのぶは、そう納得した様子で一言だけ呟き、カナヲに蓮を運ぶようにお願いした。
「分かりました!此処から先、炎柱様は私が運びます!蝶屋敷まで来て頂き有難うございました、蛇柱様!」
しのぶの言葉を聞き、カナヲが姿を見せ、伊黒に対して労いの言葉を口にしながら、蓮を引き渡すようやんわりと伊黒に言った。
「分かった・・・それじゃあ、俺は蛇柱邸に戻って休ませてもらう!」
それを聞いた伊黒は、素直に応じてカナヲに蓮を渡した後、そう言い残して早々に帰って行った。
「それでは診察室に行きましょう、カナヲ!」
「はい!師範!」
伊黒の姿をカナヲと共に見送ったしのぶはカナヲを見て、そう言った。その言葉にカナヲはそう頷きながら答えて、しのぶの後に続くように屋敷の中へと入って行った。
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