38人が本棚に入れています
本棚に追加
1
子供は苦手だ。うるさいし、自分勝手だし、何を考えているのかわからない。
だから今日だって、息子と2人で遊園地になんて本当は行きたくなかったんだ。
真夏の太陽は肌を焦がし、湿度の高く蒸し暑い空気が体にまとわりつく。チケット売り場の列はゆっくりとしか進まない。
待ち時間の長さにイライラする俺を、隣に立つ息子の陸が恐々と様子を窺っている。仕方がないだろう、暑くて不愉快だし、本当は行きたくなかったんだから。
そんな俺の心の声を察したように、陸は黙って俯く。本当なら彼も、俺となんて行きたくなかっただろう。
最初のコメントを投稿しよう!