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 子供は苦手だ。うるさいし、自分勝手だし、何を考えているのかわからない。  だから今日だって、息子と2人で遊園地になんて本当は行きたくなかったんだ。    真夏の太陽は肌を焦がし、湿度の高く蒸し暑い空気が体にまとわりつく。チケット売り場の列はゆっくりとしか進まない。  待ち時間の長さにイライラする俺を、隣に立つ息子の陸が恐々と様子を窺っている。仕方がないだろう、暑くて不愉快だし、本当は行きたくなかったんだから。  そんな俺の心の声を察したように、陸は黙って俯く。本当なら彼も、俺となんて行きたくなかっただろう。  
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