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楽しんでくださいねー、というお決まりの文句と共に、チケット売り場のスタッフから入場券を渡される。
ほら、と陸にチケットを渡す。俺の顔を上目遣いでちらりと見た陸は、ありがとうも言わずに受け取って走り出した。
「こら、待て」
陸は俺の低い声にびくりと体をこわばらせて振り向き、不服そうな顔で立ち止まった。その顔が俺にそっくりで、思わず眉間に皺を寄せる。どうして似て欲しくないところは似るんだろうか。
「迷子になるぞ」
無理矢理笑顔を作り、できる限りの優しい声音で言うが、陸はニコリともしない。妻の雪には笑顔を向けてじゃれついているのに。
ため息をついて歩き出す。陸は俺の後を慌ててついてきた。
本当に、子供と2人で遊園地なんて行きたくなかった。
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