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赤いデミオ
その後もぼくは白川さんの家になにかと手助けに行った。しばらくはヒデのNボックスで通った。それも度重なると頼みづらくなる。
母のアウディA1を借りるか。
白川さん? だれそれ? なんで岳人が?
……考えただけで煩わしかった。
この七月に二十歳になるぼくは「お祝いを前倒しで」と母に手を合わせて頼み込み、中古の赤いマツダデミオを手に入れた。
「立て替えてあげるけど、お祝いは十万円だけ。働きだしたら毎月かならず返すんよ」
母はシビアに言い渡した。
「まあ、ステキな車! きれいな赤! どうしたの? これもだれかに借りたの?」
「ぼくの。買ったんや。前からマツダの赤が好きで、買うならこれと決めてたから」
「赤は元気が出る色よ。高かったでしょう」
「中古やからそんなでも」
母に出してもらったことは黙っていた。
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