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147 エスコートの権利
「だからわれわれに、学生総括会に入れと?少しでもマミさまの矛先が鈍るようにあたしたちを取り込もうと?小賢しいのはあんたたちよ!マミさまはそういうのが一番嫌いなのよ」
シャロネットは嫌味たっぷりに、しかも高飛車に言った。上級生もいるのに仕方ない子。
でもそれは違う。マミさんはたぶんどうでもいいと思っている。キリス兄さんが絡まない限り、それはなんの意味もないことなのだ。ただ向かってきたから払う、それだけだったはずだ。それを知らないシャロネットじゃないはず。
「わかった。もういい。われらが間違っていた。王族方を懐柔しようと思ったのは間違いだったのだ。われわれは思いあがっていたのが充分わかった」
「そう、それじゃ宣告の日が来るのを楽しみに待っているのね」
リスティアルスとステファニーは顔を伏せた。なんか気の毒になってしまった。
「いいわ。あたしやるわ。代議員会委員長」
「え?」
もうしょうがない。これは人助けよ。
「ちょっと舞美!」
「いいの、シャロネット。王族なら王族らしくその責務を全うする。そうじゃない?」
「う、それは…」
「あ、ありがとう、舞美さん」
ステファニーさんが泣いて言ってくる。泣いた顔も美しいなあ。
「で、ふたつ目のことって?」
「あ、ああ。それはね、聖リレント復活祭のダンスパーティーの、舞美さんをエスコートする権利を、舞美さんがその一員であるこの生徒総括会が有し、復活祭の前夜祭でその権利を争奪するチャンスをみなに与える、その公平なルールによって。しかしてそれは複合的かつ多種にわたる知力・体力・そして勇気を試させるもの!」
「ちょっと、なに言ってるの?」
「つまるところ舞美争奪超人トライアスロン、ていうのを開催して、あなたのエスコート権を目指してもらえば、学院内の騒ぎも収まるというわけよ」
バカだ、こいつら。信じられない。
「そんなのはお断りします!」
「いえ、無理。あなたはもう役員なんですから」
「きったないわね!」
「それしかこの騒ぎを治めることができないのよ。力足らずだっていうのはわかっているから、だからこうして無い知恵絞りだして、あなたにお願いしてるんじゃない」
ああ、すべてあたしが悪いってか。しょうがないなあ。
「はあ、わかったわ」
「恩に着るわ、舞美さん」
ステファニーさんはさっきまでの悲壮な顔つきとは裏腹に、いまはすっごく美しい顔をしていた。まあ、騙されたようなもんだけど、みんながほっとしているならそれでいいか。
いいわけなかった。聖リレント復活祭は、とんでもないことになっていった。
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